体験学習のサイクル

キッズのためのメンタルトレーニング - 第143回
掲載日:2014年6月26日

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「絶対に眠れない毎日がある」…サッカーが好きな人たちにとって毎日試合が放送され、観戦できることは幸せなことですね。
私の観戦スケジュールは、現在1日に予選リーグ3試合が行われていますが、1試合目と3試合目を生で観戦し、2試合目は録画で帰宅後に観戦。
W杯が開幕してからサッカーとブラック・プレジデントとルーズヴェルト・ゲーム以外のテレビは観ていませんね。
今もW杯を観戦しながらコラム作りをしています。笑!

子ども達との会話も当然、W杯のことばかりでお互いに話が弾みます。
共通の話題がコミュニケーションにとって大切なことだと改めて理解している毎日です。
私が「好きな選手は!?」と質問すれば「メッシ」「ロナルド」「ロッペン」と世界の一流選手を答えますが、「では、どこのポジションかな!?」と聞いてみると…「?」答えに苦しむ子どもが意外にも多く、好きな選手を観戦しているものポジションは理解していません。
日本サッカーのレベルが(子どもたちのレベルが)向上するための1つに、このポジションとポジションの役割を知ることも大事な要素ではないかと思う今日この頃です。

W杯の話ばかりになっていますが「見たことは忘れる。聞いたことは覚える。やったことは理解する」。これは中国の諺です。
前回、プロジェクトアドベンチャーのお話をしましたが、今回はプロジェクトアドベンチャーの理論の1つ「体験学習のサイクル」を説明したいと思います。中国の諺でわかるように、体験は子どもたちへの効果的な教育・指導はとなります。
しかし実際の教育・指導の現場を見ると「体験する前に答えを伝える」ことが教育・指導と思い込んでいるのが現状ではないでしょうか。私も昔は、その1人でしたので。笑!

例えば、プレー中、周りが見えない子どもに「顔を上げろ」と言うのは簡単ですが、言われた子どもは顔を上げるものの、上げたことによる効果と理解は浅はかなもの、同じことを繰り返します(理解・修正まで時間がかかる)。
それよりも「何が起きたの!?」→「それはどうして!?なぜ!?」→「それで!?どうする!?」と質問して、子どもたちから「顔を上げる」と考えさせ、答えさせた方が効果と理解は深まり、次から顔を上げてプレーするようになります。
また、周りが見えない状況の時に「顔」と言うだけで、言われた子どもは修正するものです。
※習慣化させるには指導する側が我慢強く言い続けることが大切です。

これが学習体験のサイクルと言います。
体験させるだけでなく「何が起きたの!?」(ふりかえり)→「それはどうして!?なぜ!?」(概念化)→「それで!?どうする!?」(適用)の段階と質問のサイクルを忘れないで下さい。
このサイクルを体験した子どもは、サッカー以外の環境でも同じサイクルで考え行動するようになりますよ。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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