自尊感情

キッズのためのメンタルトレーニング - 第17回
掲載日:2009年7月7日

photo

現代、豊かで快適な生活を過ごすことができています。
この言葉をメンタルトレーニングや講習会で伝えていますが、小数の人たちは「不況、不景気で不安定な生活を過ごしています」という声を頂きます。

確かに現代は100年に1度と言われる不況で豊かで快適な生活ではないと思いますが、私が言いたいのは「生きることに(生活することに)困るような社会環境ではない」ということです。

この事実を知りたいのであれば、皆様の祖父母様に昔の生活や暮らしを聞いてみて下さい。
現代の子どもたちが聞けば想像できないでしょう。

今回、なぜこのような事からお話するかと言えば、メンタルトレーナーとして選手達と接し、またパーソナルトレーナー的立場として義務教育の現場から企業で 講義を行う中で、「環境が人を作り、環境が人を変える」ということが最大のテーマであり重要な課題であると思います。

私1人がどんなに頑張ったとしても環境には勝てません。
環境は私たち人間1人1人の意識・思考・習慣・行動が作り出したものですので、1人1人の変化がとても重要です。

今、日本の子どもの自尊感情が低いということを耳にしますし、実際に子どもと接する中で感じています。
古荘純一氏の「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」(光文社新書)の中でも児童精神科医の現場から子どもたちの自尊感情のなさが顕著に書かれています。

そもそも自尊感情とは何でしょうか?
自尊感情とは「自己に対するに対する評価感情で、自分自身を基本的に価値あるものとする感覚」と説明しています。
自分自身の存在を基本的に価値あるものとして評価し信頼することによって、人間は積極的に意欲的に経験を積み重ね、満足感を持ち、自己に対しても他者に対しても受容的でありうるということです。
また、ベネッセの調査でも日本の子どもたちは世界の主要都市の子どもたちに比べ、将来に対する希望や期待、そして意欲や努力などが低いことがわかっています。

子どもたちの環境を作っているのは私たち大人です。
また、子どもは大人の鏡です。

将来のある純粋で無邪気で素直な子どもたちに何を教え、伝えていくべきでしょうか?
その1つに私大人が自分自身に自尊感情を持つことだと思います。
簡単に言えば、自分という人間を好きになり大切にして積極的でポジティブな言動を行いながら、希望や期待感を持ち生きていくことです。

メンタルトレーニングで「偉大な選手は偉大なる俳優である」とか「チャンピオンになるためにはチャンピオンがしていることをしなければならない」という言葉があります。
なりたい自分を演じる、なってほしい子どもの親を演じることを試してみてはいかがでしょうか。


写真
松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

よければこちらのコラムもどうぞ

© NPO法人 熊本県キッズサッカー協議会
Produced by Answer International