あまり聞かなくなった努力

キッズのためのメンタルトレーニング - 第30回
掲載日:2010年1月12日

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2010年を迎え12日が過ぎましたが、コラムをご覧の皆様、明けましておめでとう御座います。毎年、干支にちなんだ新年の決意やご挨拶がありますが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉で新年のご挨拶とさせて頂きます。

この言葉の意味は「何事も危険をおかさなければ、目的を達成したり、大きな成果を得たりすることはできない」ということです。

誰にでも個人・仕事・家庭において少なからず、現状よりも良くなりたいという気持ちや思いを持っているもので、今に満足していない人がほとんどかもしれません。
心理学者マズローは「欲求段階説」から人間は常に欲求に向って成長して生きるものだと唱えています。
中には基本的な欲求として「生理的欲求」(食べる・寝るなど)、「安全安定欲求」(身の安全や安定など)、「所属的(愛情)欲求」(自分を受け入れてくれる気持ちなど)が満たされていない人もおられるかと思います。
しかし、いずれにせよ人間は自らの才能や能力、可能性を開発したいという「自己実現の欲求」に向って日々、生活しています。

安定や安全を求めるにしろ自己実現を求めるにしろ、危険を冒すとまでは言いませんが「努力」が必要です。
お金を貯めたいと思えば節約する努力が必要ですし、痩せたいと思えば食事制限や時間を作り運動する努力が必要でしょう。また、子育てや教育でも、子どもと向き合い成長を待つ(見守る)努力が必要です。
つまり、何事において「欲求を満たしたい」と思えば「努力」が必要不可欠ということです。
何の努力もなく満たされることはありません。

しかし、現代は何の努力もなく欲求を満たそうとする社会ですので、努力することに抵抗を感じ嫌う傾向があります。
この環境下では「努力しない習慣」が身につき、物などのハード面に頼り欲求を満たすという悪循環です。
自己の欲求に反し社会では努力なしで生活できる環境ですが、ぜひとも満足していないことがあれば、努力を通じて満足感を得てほしいと思います。そして子どもたちにも教えて頂けたらと思います。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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