自発的欲求

キッズのためのメンタルトレーニング - 第63回
掲載日:2011年5月17日

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3.11から2ヶ月が過ぎました。3.11というだけで「何のことか」皆様も理解されているかと思いますが、東日本大震災から2ヶ月です。現在でも避難所で生活されている方は大勢おられます。同じ日本に住みながら、全く違う(別の)生活環境に驚かされます。

こうして普通に朝を迎えられる。帰る場所がある。体を休める家がある。働く場所がある。話せる仲間がいる…欲張ること、贅沢をすることが馬鹿馬鹿しく感じてなりません。

もっと手前にある「あたり前」に心から感謝して生活することがどれだけ大切か教えられるばかりです。
「不平不満は言わない。考えない」これは私が3.11から実践していることです。

便利で快適な世の中に住む私たち。戦後や高度成長期までは必死に生活や仕事をしていた私たち。同じ日本という土地に住みながら、時代の変化と共に、心も変 化しているようです。このコラムを観られている方も同じ気持ちを持たれていると思います。

様々な欲求を満たしたいという思いが、私たち人間を動かしています。生活のためとは最低限の欲求レベルですが、戦後や高度成長期までは、生活すらままならない状況でした。
欲求、意欲について心理学者のマズローは欲求を5つに分けて説明していますが、ひと昔までは「生理的欲求」を満たすことに必死でした。飢え・渇き・睡眠・ 性などです。また2段階目の「安全の欲求」を満たすことも含まれるでしょう。恐怖・危険・苦痛などです。

しかし、現代では「生理的欲求」も「安全の欲求」も何もしなくても「普通」に満たされる時代です。
必死になる必要はありません。

このことが、現在の子どもにマイナスに働いていると私は懸念しています。自発的な意欲が低いと思われませんか?自分の欲求を満たすために努力する。諦めない。耐える。などの心理面が弱いと思いませんか?

自 発的な意欲は昔も今も、そして「これからも」大事なことです。普遍的なものです。では、どうすればよいか!?私の考察ですが、生理的欲求や安全の欲求か ら、自分自身で戦わせてみることです。挑ませることです。簡単に言えば、手を貸さないこと。困難な状況にならないように先に手を回さないことでしょうか。
酷な事を言っているかもしれませんが、自発的な意欲(やる気)を身につけさせたいと思われるなら、生理的・安全の欲求から自分の力で満たさせるようにして 下さい。安心して下さい。私たちの世代の中に、同じような体験をされてきた方は多いと思いますよ。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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