覚える・覚えさせる

キッズのためのメンタルトレーニング - 第101回
掲載日:2012年11月13日

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「101回目」と聞けば何を思い出しますか?私は「101回目のプロポーズ」(笑)。
今から21年前、私が15歳(高校1年)でした。武田鉄也の「僕は死にません。僕は死にません。 あなたが好きだから、僕は死にません。僕が、幸せにしますからぁ」というセリフは、同年の流行語(大衆部門・金賞)となったほど有名ですよね。また、主題 歌の「SAY YES」も。

過去に経験したこと思い出すように保持することを「記憶」といいます。しかし、経験したこと全てを保持し自由に思い出せることはできません。ここで簡単に記憶の流れ(種類)について説明したいと思います。

私たちは常に「見たり・聞いたり・行ったり」して多くの情報に触れますが、この触れた情報を保持することを「感覚貯蔵」といいます。触れた情報なので記憶とは言えません。ここで注意を向けられた情報だけが、次の記憶過程である「短期記憶」に貯蔵されます。
短期記憶は覚えた直後は思い出しますが、必要がなくなると…忘れてしまいます。感覚貯蔵の記憶より覚えていますが、まだ記憶とは言えません。ここで長い間記憶にとどめておくためには、何度も記憶を反復するなどして「長期記憶」に送り込むことです。
ポイントは何度も記憶を反復する(リハーサル効果)が重要です。私たちが記憶するとは、この長期記憶のことをいいます。

珍 しく真面目な文章になりましたが、記憶するプロセスがわかれば…私が「101回目のプロポーズ」を即座に思い出すことができる理由がわかりませんか?そ う!「毎週欠かさず見ていた」ことになります(笑)当時、大津高校1年生。寮生活の私は食堂の後ろで(先輩が優先)見ていました。見終わると、武田鉄也や ASUKAのマネ。そりゃ嫌でも記憶しますよね。

長期記憶は2つに分けられます。言葉によって記憶される「宣言的記憶」と言葉ではなく体の動作で記憶する「手続き記憶」です。見終わると…マネしていた。これぞ2つの長期記憶のプロセスを行っていますね。
人は以上のプロセスで記憶するので、育児・教育・指導の現場で活かしてみて下さい。大事なことは…。

  • 注意を向ける(集中する・集中させる)
  • 何度も反復する(繰り返す・繰り返させる)
  • 言葉で繰り返す(発言・文字を見せる)
  • 体で繰り返す(実践)

子育てで自然と以上のことを実践させていませんか?また、私が思うことは、記憶させたいことを「好き」(興味や関心)になってもらうように働きかけることと、記憶させたいことが何故大事なことなのかを説明することです。
集中しなさいと言っても、繰り返しなさいと教えても、ただ言葉や体で行わせても、本人が心を使っていないと記憶は強化されないと思います。自らが好きにな り、意味や目的を理解させることに時間と労力がかかり面倒だ、大変だと感じるとも思いますが、何度も「しなさい」と言わなくてもするようになると思いま す。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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