恵まれすぎている子ども達

キッズのためのメンタルトレーニング - 第90回
掲載日:2012年6月12日

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先週末からEURO2012が開幕しました。深夜の生放送で連日睡眠不足です(笑)
昨日はイタリアVSスペイン(6/10)と予選リーグからベストカード。
1対1の引き分けでしたが、白熱した試合と卓越した技術と戦術に興奮。
今日もイングランドVSフランス、サッカーファンにはたまりませんね。
好きなことからの睡眠不足は辛いとは思わないのも納得です。
身体的な疲れより精神的な疲れが辛いですから。

私がサッカーに熱中したのが、今回のヨーロッパ№1を決めるEURO、EURO”88”大会でした。
当時、私は中学1年生。オランダが決勝でソビエト(現ロシア)を2-0で下し優勝。決勝での2ゴールは今でも忘れません。
ファンバステン・フリット・ライカールト・クーマンと世界を代表する選手たちのプレーに心躍らされ、夕方の練習では選手たちの「モノマネ」をしていました。また、EURO88ダイジェストという雑誌を購入し、毎日見ていました。
お気に入りの写真は部屋の壁に貼ったり、下敷きにはさんだりしていました。

現代、情報化社会、グローバル化となり、私たちの環境は大きく変化しました。
今回のように民放で、しかも生放送でサッカーの試合を中継することは当時からは考えられません。
世界のリーグ戦、Jリーグ、代表戦と日頃から世界最高の選手(プレー)やゲームを見ることができるなんて、私たちからすれば羨ましいことですよね。
だから、サッカーのスキルは間違いなく”今の子ども達”が上手ですし、サッカー人口も増加するはずです。
そして、サッカーのグラウンドも多くなり天然芝や人工芝とハード面の整備も整っています。

一方で懸念することもあります。
これは指導者からも多く聞くことですが、「そのチームに所属する」または「サッカーをしている」だけで満足している子どもが増えたこと。そして、綺麗なプレー(スマートな選手)が増えたこと。
テレビやグラウンドなどの環境がよくなったことで、子ども達の欲、真剣さ、こだわりが平均的に低下しているように感じます。

憧 れ(希望)のチームで、サッカーができることで満足せず、華麗なプレーをすることだけがサッカー選手だという考えではなく、親のお金で、家庭の時間をさ いて、サッカーをプレーしていることの喜びとありがたさを、大人(親・指導者)が積極的に伝え続けることが、今の子ども達には重要だと思います。
欲求は満たされると思い込んでいる子どもが多くなり、今以上の努力や頑張りを”自主的”にできなくなっています。

私は昔の人間です。
何とかして、どうにかして、という考えは私生活の中から沢山あったように思います。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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