個よりも集団(文化)の常識を変える

キッズのためのメンタルトレーニング - 第95回
掲載日:2012年8月21日

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先日、これまでのメダル最多獲得数にどこまで近づくか!それとも歴史を塗り替えるか!とコメントしていましたが…「38個」のメダルを獲得。歴代最多のメダルを獲得しました。
なかでも初メダルが多く、マイナーな競技のメダル獲得には、レスリングの男子フリースタイル66キロ級で金メダルを獲得した米満達弘選手が「レスリングは 女子だけしゃない」とコメントしたように「メジャーな競技に負けたくない」という気持ちがあったのではないでしょうか。大和魂は健在ですね。

皆さんは「大和魂」の意味を知っていますか!?
平安時代から用いられていた言葉です。
あの吉田松陰も「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」と歌っています。
年月とともに情緒を理解する、柔軟に対応する、現状を打破すると大和魂の意味も変化していますが、私は「ハングリー精神」こそ、大和魂ではないかと思います。
戦時中の国民の考えは「国のため」。この考え方には賛否両論あると思いますが、集団が、何かことを起こし成し遂げるまでのプロセスに「集団に共通した自分以外の理由」が必要ではないかと思います。

なぜそう思うのか!?
現代の子どもの多くは「自分軸」。簡単に言えば自己中心的な考え、判断をする子どもが多いということです。
悪く言えば…わがままでしょうか。大人の方から「我々の頃は、大人(先輩)の指示は絶対…」とよく耳にしますね。
なぜ、この十数年で、また、幼少期に今の子どもと違うアプローチや指導を受けていた大人から生まれた子ども達が、違う考え(違うパーソナリティ)になったのでしょうか?

心理学(発達心理学)でパーソナリティ発達と文化的要因のなかで、アメリカの文化人類学者ミードの研究結果から「人間のパーソナリティは、生まれながらのものではなく、属する文化を背景として形成される」と説いています。
このことから、現代の子ども達のパーソナリティは遺伝よりも環境(住んでいる、触れている環境、文化)の方が大きく影響を受けるということです。

昔は「自分だけ」ではなく「みんなで」。「自分のこと」ではなく「他人の気持ち、立場になって」。他人に(周囲に)迷惑をかけない。など世間や社会を中心とした文化でした。
それが個人主義や成果主義という考え方が取り入れられ、家庭から企業、そして環境(文化)に「自分軸」が形成されていったと思います。
今回、少し難しい内容となりましたが、ハングリーな性格とともに、集団(組織)のなかの1人としての責任と他人の立場や思いで考え、行動できることを、幼少期から伝えて下さい。
このことは集団競技にとても重要なことだと自分自身の指導やプレーヤーの経験から思うことですし、熊本を活性化する取り組みの中で感じることです。
1人1人の変化は組織を変え、文化(環境)を変えます。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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