応援のスタンス

キッズのためのメンタルトレーニング - 第62回
掲載日:2011年4月26日

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現在、3月末で大津高校サッカー部コーチを辞め、4月からロアッソ熊本に環境を変え、アカデミースタッフの一員となり育成、普及を行っております。
今まで以上にキッズ年代との関わりが多くなり、先週は八代市にある某幼稚園の巡回指導に参加し、年小から年長までの子ども達と触れ合いながら一緒にボール を使って遊びました。また、学園大学前で開催しているサッカースクールでは小学生にサッカーを指導しました。あらためて感じたことは、子ども達は、元気で 明るく無邪気で素直なことです。

先日、ある年代の大会の運営席でゲームを視察していた時のことです。ゲームは一進一退の攻防。両軍の監 督、コーチは黙ってゲームを見守っている中、スタン ドから大きな声援が続いていました。選手と同じ気持ちになって(自分がプレーしているかのように)応援することはプレーヤーやチームにとって大変有難いこ となのですが、応援の内容に少し疑問、課題を感じました。

「ドリブル!」「シュート!」「クリア!」「ラインを上げろ!」など、指揮官のコーチングのような応援です。それも1人ではなく大勢の方が同時に(同じタイミングで)様々な単語をグラウンドに投げかけています。

私 は駄目だとは言いません。指導者の立場として応援は感謝すべきことです。力になっているのは間違いありません。勝利を掴みたい。栄光を手にしたい。上手 くプレーさせたい。と思う気持ちの表れでしょうが、本当の実力をつけさせ、勝利を収めようと思うならば、プレーの「判断」を選手自身に任せるべきではない かと思います。いつまでもプレーヤーを操縦して動かしていては、肝心要な状況で正確な判断できなくなります。また、言われないと(指示されないと)動かな い選手になります。

プレーヤーとして指導者として決勝のピッチに立った経験を述べさせて頂くならば、決勝戦のゲームでは、ベンチからの指 示はほとんど聞こえません。点数が入 るか、ボールがピッチ外に出るか、怪我やファールでプレーが中断する時しか聞くことができません。これは社会でも同じことが言えると思います。最終的に は、自分の力で判断しなければなりません。自分の力で予測し決断するしかありません。

また、指導者として注意して頂きたいことは、ベンチからの指示と応援者からの指示が違うことです。どちらの言葉を選択してよいか…選手は悩むだけです。元 気で明るく無邪気で素直な子どものために、応援のスタンスを注意して頂けたらと思います。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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