気付きを与えていますか?

キッズのためのメンタルトレーニング - 第8回
掲載日:2009年2月24日

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今回は「トライ&エラー」勝ち負け以外に大切なことがあります。というテーマの中で、私たち大人が子ども以上に「勝利」を求めるあまり、子どもたちの成長の妨げになっていることを紹介しています。
(めざせ!ベストサポーター P18~19)

勝つことや勝ちに拘ることがNO!と言っている訳ではありません。
勝ちたい気持ち(欲求)は、人間の成長に不可欠な要素であり、勝ちたい気持ちが強ければ強いほど「もっと上手くなりたい」と真剣に取り組み、努力を行うプラスの原因です。
勝ち続けたい・もっと上手くなりたいと思う選手は、自分自身が努力しているという考え(捉え方)はなく、「あたり前のことをしているだけで当然のこと」と考えています。
実際に研究結果で「負けず嫌い」の子どもほど、身体能力が優れているという事例もあります。
私自身も、やるからには勝ちたいと思う人間の1人です。

ここで、私たち大人が注意しなければならないことは、勝つためのレールを事前に準備したり、導いたりするのではなく、子どもたち自身で「トライ&エラー」を通じて、成功と失敗を経験させ、学ばせることです。

間違いなく私たち大人は、歳の分だけ子どもたちよりも多くのことを学び・経験をしているので「勝つためのアイディア」を知っていますし、失敗しないように行動(プレー)することも知っています。
子どもたちが可哀想だからと負けやミスを回避しようとせず、特にキッズ年代の子どもたちには自らの判断で行動させ、結果と結果に伴う責任を与えて下さい。
私がメンタルトレーニングで指導する時に、よく指導者や保護者の方に「本人が気付かなければ何もならない(意味がない)」と伝えています。
これは、本人が痛い目に合う、もしくは喜ばしい結果が出た時に、初めて自分自身の血肉となり言われていたことを理解するという事です。
簡単に言えば自分のものになったということです。

私生活でも同じことが言えます。
遅刻してはいけないと親が起こす。宿題を提出しなければ評価や成績に影響するからと手伝う。危ないからと近い距離でも送り迎えをする。などなど、子どものために良かれと思う行動の中に、子どもの人間的成長や社会的成長を妨げている傾向があります。

皆様が幼い頃を思い出して下さい。
親が何か手助けをしてくれましたか?遅刻をして、宿題を忘れて、自分の足で歩いて…様々な体験や経験の中で、良いことや悪いことを自らが学び、判断する力や予測する力、すなわち考える力が身に付いたと思います。

「可愛い我が子には旅をさせろ」先人の知恵は素晴らしいものだと改めて思わされますね!


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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