判断と責任

キッズのためのメンタルトレーニング - 第19回
掲載日:2009年8月4日

photo

8月といえば夏休みのシーズンです。
といいましても子ども達だけの話で保護者の皆様は逆に慌しく忙しい毎日を過ごされていることと思います。
先日、あるニュースで「本音では一日でもはやく夏休みが終わってほしい」という母親のコメントがありましたが、共働きのお母さんからしてみれば、大変なシーズンではないでしょうか。

今回は久しぶりに「めざせ!ベストサポーター」から夏休みシーズンに相応しいと思われる内容についてご紹介させて頂きます。

P34~35 「根本的な部分へのアプローチ」というテーマで子ども達の自主的な「判断」と「責任」について解説していますが、日本サッカー協会では日本の サッカーを強くするために、子どもたちに何をどのように教えていったらいいのかを考えプレーに重点を置き練習内容を中心に考えていましたが、最近になりプ レー以前に「判断」と「責任」が足りないことに気づいたということです。
日本の選手は言われたことを言われた通りにやることは非常に優れていますが、とっさの時、状況が変わった時に、自分自身で的確な判断を下し行動することが苦手だと言われています。

では、なぜ日本人、または現代の子ども達は「判断」と「責任」が足りないのでしょうか?

要因は様々ですが「狩猟民族ではない」「トップダウンの教育や指導」「サポート(援助)体制の充実」そして「よかれと思う過剰な子育て」などではないでしょうか?
何度となくこのコラムで提言していますが「子は親の鏡」「人の心はDNAと環境によって作られる」という言葉のように子ども達を取り巻く人と環境に問題があるのではないかと思います。

私はサッカーの指導も行っていますが、「判断力」と「責任力」を持たせるために、本人の発言に対して発言通りに行わない場合や中途半端な行動をした場合、またはチームで決めたことをしていない場合に厳しく指導します。
また容易に答えを言わずに個人やグループで考えさせ話し合わせます。

一見、理不尽かと思いますが(とうの私も辛いものですが)スポーツの世界では、グラウンドや試合の中、自分自身で考えて判断を下し行動(プレー)しなければなりませんし、自分で選択し決断したことには責任を持たなければなりません。
これは実社会(私生活)の中でも同じことが言えるのではないでしょうか?

この夏休みは子ども達の「判断力」と「責任力」を持たせるための絶好の期間です。

例えば規則正しい生活、学校や塾などの宿題、日中の時間の使い方など自分自身で考え行動し責任を持たせることができる期間ではないでしょうか?
よかれと思い手を差し伸べることなく、本人が「しまった」「こんな生活でいいものか」「宿題がぜんぜん終わっていない」と気づかせることが非常に大事です。

気づきなくして成長はないものです。


写真
松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

よければこちらのコラムもどうぞ

© NPO法人 熊本県キッズサッカー協議会
Produced by Answer International