恐怖は生まれながらの感情

キッズのためのメンタルトレーニング - 第84回
掲載日:2012年3月13日

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「3.11」日本国民にとって一生忘れられない日、いや忘れてはいけない日。
1年前の3月11日14時26分、東日本の太平洋沖で大きな地震が起こりました。

私は当日、某高校野球部の沖縄遠征に帯同するため急いで遠征の準備を済ませ、車で学校に向っている道中で地震が起きました。カーナビのテレビでは津波が押し寄せる映像が流れ、町や村が津波に飲み込まれる瞬間に驚き、唖然とするだけでした。
あれから1年。多くの行方不明者や亡くなった方、家族離れ離れになっている方、仮設住宅で生活されている方、仕事を失い途方に暮れる方、原発の影響を受けている福島県民の皆様…未だ震災の影響を受け、大変な生活を送っておられます。
あたり前と思っていることが、どれほど「有難い」ことなのか。特別なことを求める前に「普通のこと」を大切に丁寧にしなければならないと思います。不平や 不満、愚痴を言う前に「生きていること」や「好きなことができていること」に感謝しなければならないと思います。
私はサッカー(スポーツ)をする以前に、人間として、東日本大震災の教訓を子ども達に伝えていきたいと思います。

人間には様々な感情がありますが、唯一持って生まれた感情として「恐怖」があります。
自然界の生存を考えれば恐怖心が必要なことはお解かりでしょう。
恐怖を感じなければ他の動物に襲われる(食べられる)か、命を落としますからね。
サッカーの試合で保護者や指導者が「恐がるな」(ビビるな)「焦るな」「緊張するな」などと言葉をかけている現場をよく拝見しますが、そもそも恐がらないことなどできません。
今後、恐怖を感じることがダメとか、メンタルが弱いと決め付けないで下さい。では、キッズ年代の選手に対して、どのようにして恐怖を軽減させるとよいでしょうか?

アドバイスの仕方に答えはあります。恐怖を誘発させる言葉かけに注意して下さい。
例えば「ミスをしないように」。試合前に「ミスしないように」と言われれば、ミスが恐くなりますよね。他に私が思う恐怖を誘発する言葉を紹介すると「しっ かりしなさい」「点数を決められるな」「何をしているんだ」「失敗するな」「見られているぞ」「恥ずかしくないプレーをしなさい」「相手は強いぞ」。大人 の私たちでも恐怖を感じませんか?

逆に恐怖を感じさせないような言葉かけがパフォーマンスの向上には効果的です。
即実行できることは困難かもしれませんが、意識的に発言してみて下さい。
本当に難しいなら黙っておくか、余計なことは言わないことですかね。私も現在進行形で意識して発言していますよ。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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