サッカーを通じて何を学ばせるか

キッズのためのメンタルトレーニング - 第91回
掲載日:2012年6月26日

photo

子ども達に夢を与えること、夢を抱かせることは私たち大人の仕事です。
近年、サッカーをしている子ども達は口を揃えて「将来の夢はサッカー選手」と答えますが、サッカーや野球以外のスポーツをしている子ども達は、はっきりと「○○○の選手」と言いません。
先日、ある中学校から依頼がありハンドボール部にメンタルトレーニング講習会を行った時、「将来の夢(目標)は?」という問いかけに…「ハンドボール選 手」と答えた生徒は「0」で、「スポーツに関わる仕事」「理学療法士」「先生」以外は「ないです」と答えました。一方、サッカー部は「サッカー選手」と答 える生徒が全体の80%。この差は何でしょうか?

先週の話に関連しますが、サッカー(野球も)は他のスポーツに比べて、メディア・雑誌・TVに取り上げられることが多く、サッカー人口の増加に影響しています。
また、Jリーグは日本に40チーム。九州では鳥栖・福岡・北九州・大分・熊本と5チームが存在し、身近に観戦できる環境です。この様々な環境は間違いなく、子ども達の夢に影響し反映していると思いませんか?

私の場合、小学校のチームメイトのお父さんが熊本農業高校サッカー部の監督ということもあり、年に数回、小学校で高校生と一緒にサッカーをしていました。
一緒にプレーしたお兄ちゃん達が全国高校サッカー選手権大会熊本県予選決勝でプレーしている姿(優勝して喜ぶ姿)を見て興奮…サッカー選手を夢に抱く”キッカケ”の一つとなったことは間違いありません。

Jリーガーの都道府県別出身者数ランキング(2012年2月時点)で、熊本県は11位!27名のJリーガーが在籍しています。ちなみに1位:東京都107人・2位:神奈川県 81人・3位:静岡県77人。統計では全国127万人に1人の割合でJリーガーが誕生しています。
私は何を伝えたいかと言えば、ブームやメディア等を通じて子ども達が夢(目標)を抱くことは、素晴らしいことだと思います。これぞスポーツ文化、スポーツ が子どもの心身に与える良い影響の一つだと思います。しかし、サッカー選手になれるのは一握り。現実は難しいものです。

レアルアドリード監督モウリーニョは「確実に言えることは、「全員がプロにはなれないが大人にはなる」。社会・仕事で必要なコミュニケーション・協力・判断力・責任はスポーツを通じて学ぶことができる。」と言っています。
集団スポーツとサッカーの競技性は、間違いなく社会人に必要な要素を身につけることができると思います。
キッズ年代からプレー(技術・身体能力)の向上だけにフォーカスして指導するのではなく、会話・協調性・判断・責任についてアプローチしてほしいと思います。
サッカー選手になれなくても、間違いなく大人にはなるのですから。


写真
松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

よければこちらのコラムもどうぞ

© NPO法人 熊本県キッズサッカー協議会
Produced by Answer International