サッカーの幸せとは

キッズのためのメンタルトレーニング - 第93回
掲載日:2012年7月25日

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大好きな熊本に観測史上初の大雨が降り、阿蘇を中心に自然・街・家・人が犠牲になりました。
当日、私は熊本市内で深夜まで打合せ…代行で帰宅している最中に車のワイパーをMAXにしても前が見えないほどの雨が。翌日の朝、白川が大変なことになっているとニュースで見てから、次々と熊本県の各地で被害があることを知りました。
皆様の中に被害に合われた方はおられませんか?何かできること、サポートしてほしいことはありませんか?遠慮なくご連絡下さい。私たちは熊本という家に住む家族ですから。

先 週、ロアッソ熊本ではトップの選手、コーチ、フロントと総動員で龍田・阿蘇地区のボランティア活動に行きました。現地に足を運ぶ前から、車で阿蘇まで移 動の最中も立野の土砂崩れを見て災害の大きさに驚きました。私たちは内牧でボランティア活動を行いましたが、泥の撤去、雨に浸かり廃棄しなければならない ものの片付けの多さに大雨の驚異を実感しました。

そんな中、現地の方から逆に「励ましの声」を頂きました。「ロアッソ応援しとるけん ね!」「これ食べんね!」「チームにお金がないとやろ!募金しよう か」…住めない状態、普通の生活ができない環境の中、災害にあわれて大変な心理状態にも関わらず、人のこと(他人のこと)への思いやり・心配り・気遣いに 感動してしまいました。

災害など私たちの人生、生活に大きな影響を与える出来事があって初めて気付くのではなく、常日頃から考えておかね ば!行動していなければならないことを阿 蘇の内牧の皆様に教えてもらいました。それは「ごく普通の生活でも、ごく普通に生活できていることに”幸せ”を感じること」・「いざという時ではなく、日 頃から人との”つながり””関わり”を大切にする。また築いていくこと」。
熊本の皆様、本当の幸せはお金ですか?地位や名誉ですか?物質的なことですか?私は違うと思います。幸せという漢字にも表れています。上でも下でもない。上からも下からも読めるでしょ?金持ちや貧乏で幸せを計ってはいけないということではないでしょうか。

先日、FCバルセロナのコーチと食事をする機会がありました。FCバルセロナと言えば誰もが知る現在世界一のクラブであり、選手育成に定評があるクラブ。ジョアン氏からの言葉に日本と同じ問題があることを知りました。
1つは「子どもの遊び」です。道や公園で遊びのサッカーが減り、クラブやスクールに所属しプログラム化された指導を受けサッカーをすることだけになり、突出したプレーヤーが生まれにくくなった。
2つ目は「過剰な親」です。バルサに所属すれば誰でもメッシになれる。メッシみたいにしてくれる。トップに昇格してプロになれる。プロにしてくれると…親の常識が数年で変化した。

これは日本でも同じ問題が生じています。
世界一のクラブでも日本は熊本でも同じ問題があるとそれば…生活や社会の変化しかありません。
私が今回、阿蘇のことを紹介した理由に「サッカーをする幸せ」をもう一度、大人(親)が理解することです。
レギュラーが幸せ、下手な選手は不幸せ、違います!子ども達はサッカーをすること自体に幸せを感じています。
幸せを感じることができれば、苦労や悩み、努力や取り組み方などの捉え方、受け止め方、考え方が変わるはずですよ。

幸せってなんだっけ?という歌のように、本当の幸せを見つけて下さい。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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