キッズのためのメンタルトレーニング - 第72回
掲載日:2011年9月20日
子どもは「遊び」を通じて心身の機能を使います。最近では、子ども達の遊びを親や指導者が提供していますが、本来は子どもの自発的で喜びを伴った活 動に大 きな意義があります。以前に「自己効力感」について説明しましたが(自己効力感:自分でも周りの環境を変化させる力を持っているという思考)、子ども達 は、その時々の興味や関心によって、友達や玩具などの環境に働きかける活動からの何らかの応答により、自己効力感を抱くことができます。また、この自己効 力感は、自主性で積極的な生き方への原動力になります。
大人が遊びを与える、コントロールするのではなく、子ども達の様々な欲求から生じる活動を大切にしてほしいと思いますね。現代の教育は子どもを効率的に発達させようとして、管理的になっていますが、これでは遊びではなくなりますから。
遊 びは「自発性」「自由性」「娯楽性」「非現実性」「創造性」の特性があります。遊び本来の姿を取り戻せば、以上のことが身につきます。また、人間関係 (集団性)も養うことができます。教育や指導で身につかせるのは難しい特性や人間関係を、遊びを通じて身につかせることができるのですから、遊びが子ども にとっていかに重要か理解できます。
遊びから「けんか」が生じます。けんかが成立する条件は以下の3つです。
子ども同士の交流が多くなり、自己主張ができるようになると頻繁にけんかが起こります。
大人でも3つの条件から衝突しますよね。
で は、けんかの原因ですが、低年齢児は物理的な原因が主になりますが、次第に心理的な原因が多くなります。小学1年生のけんかの原因の1位は「所有物の侵 害」次に「身体的攻撃」「意志活動の妨害」「社会的名誉の侵害」の順です。これが小学6年生になると「意志活動の妨害」「身体的攻撃」「所有権の侵害」 「社会的名誉の侵害」と変化します。
以上のことを頭において、子ども達の遊びや活動から生じるけんかを観ると、なぜけんかが起きたのか(原因)が明確になりますし、的確なアプローチやアドバイスができると思います。遊びとけんかの必要性が少しでもご理解されればと思います。