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キッズのためのメンタルトレーニング - 第127回
掲載日:2013年11月12日

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0対26、二度の11連敗、首位から51.5ゲーム差、シーズ97敗…
この数字は初の日本一を達成した東北楽天ゴールデンイーグルスの初年度(2005年)の記録です。
9年の取り組みとプロ野球やメジャーを代表する選手が在籍しているのが最大の要因かもしれませんが、それだけで勝ち抜けることはできないと思いませんか?
選手やお金があれば勝てる!…プロスポーツはそんなに甘いものではありませんよね。

ロアッソ熊本は楽天と同じ創立9年目です。
私は楽天の日本一までの奇跡(取り組み・裏側)を知りたいと思い、優勝直後に出版された「楽天イーグルス 優勝への3251日」を購入しました。
今、読んでいる最中ですが、楽天が球団創立9年目にして優勝した「原因」がビッシリと詰っています。
また、メンタルトレーニングの活動をしているお陰で、高校野球の指導者から楽天について話を聞く事ができ「なるほど」「だからかぁー」と思うことばかりです。
様々な要因が重なり交わり日本一を実現させたと思いますが、個人的には「がんばろう 神戸」で優勝したオリックスと今年の楽天が重なります。「東北のために」「見せましょう 底力を」と言い続けていました。

人は「欲求」を満たすために、考えて行動しますよね。
お腹がすいた!と思ったら、買い物に行いこうか、食べに行こうか、料理を作ろうか…と考え、3つの中から選択・決断して実行しますよね。
基本的に私たちは「自己」の欲求を満たすことを中心として、日常生活・人間関係・仕事を行っています。
つまり「自分の理由」だけですね。
※自分の理由が明確で具体的、かつ実現したいと強く思い続けている人が、やる気がある人と言われています。

しかし、楽天のように「東北のために」と自分以外の理由を持つと、より思考や行動が強化されるようです。
自分の理由では「ここまで」と思う気持ちが、他人の理由も加われば「もっと」となるのでしょうね。
解りやすいのは「お母さん」の姿では。
自分のことではなく「子どもの」の為に、自分の時間・お金・エネルギーを使って、子どものためにと考え行動していますよね。

他人の理由は、やる気や行動を強化するだけなく、最近「相手の気持ちになる」ことや「相手が嫌なことはしない」と他人の立場になり考えることが薄くなっていることにも当てはまります。
相手の立場になれない人を見ていると自己中心的か協調性がない人です。
私は今年の楽天の優勝を見ていると「他人力」がある人、ある集団こそ、自己の実現から集団目標の達成を可能にして、スポーツ以前の生きるために必要な人間関係や社会性を育むと思いました。


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松山 周平(まつやま しゅうへい)
1976年3月21日、宮崎生まれ。
ロアッソ熊本 アカデミー部長
スポーツメンタルトレーナーとして熊本を中心に九州の中学・高校の部活動から大学、クラブの様々なスポーツ競技、種目のチーム及び選手達の心理面の強化・サポートを行う。

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